大きな葉っぱが魅力の鑑賞用イチジク
イチジク「ダンマロプシス種」は、ニューギニア島の山岳地帯に自生するクワ科イチジク属の植物です。数多く存在するイチジクの中でも圧倒的な果実の大きさを誇り、記録された果実の大きさは最大で約22×18cm、現在知られているイチジク属の中で、世界最大の果実(正確には多数の花を内部に含む「花嚢」)を形成する種とされています。一般的な食用イチジクを想像すると、その大きさはまさに別格です。
果実は枝に直接付くように形成され、周囲を大きく厚い苞が包みます。成熟すると赤~赤褐色を帯び、巨大な果実が太い枝に付く姿は非常に迫力があります。葉も非常に大きく、太い枝の先に巨大な葉を展開します。葉脈がはっきりと浮き上がった力強い葉姿は、一般的なイチジクとは大きく異なり、熱帯植物らしい圧倒的な存在感があります。樹は低木状~高木状に成長し、条件によっては9~13mほどになります。枝分かれは比較的少なく、太い枝と巨大な葉を組み合わせた独特の樹形を形成します。
さらに面白いのが、この巨大な植物が現地では食用にも利用されていることです。成熟した果実は生食または加熱して利用され、若い果実は野菜として加熱して食べられてきました。若い葉も食用になります。ニューギニアでは大きな若葉を加熱して野菜として利用する文化があり、本種は野生から採取されるだけでなく、食用植物として栽培されることもあります。果実だけではなく「巨大な葉まで食べられるイチジク」という点も、本種の非常に面白い特徴です。
また、本種「ダンマロプシス」は以前はニューギニアの低地から高地まで広く分布すると考えられていましたが、形態、生態、DNAなどを用いた研究によって、低地型と高地型は別種であることが支持されました。現在、低地に生育するものはFicus brusiiとして区別され、Ficus dammaropsisは標高約850~2,800mのニューギニア山地に生育する高地性の種として扱われています。「世界最大のイチジク」を形成するのはこちらの高地型Ficus dammaropsisです。
この高地性という性質は、栽培を考えるうえでも非常に興味深いポイントです。典型的な低地熱帯の果樹とは異なり、自生地では山地の比較的涼しい環境に生育します。別資料でも河岸や山地林の開けた場所などに見られ、特に標高1,600~1,750m付近で多いとされています。そのため、単純に「暑ければ暑いほどよく育つ熱帯植物」と考えるのではなく、極端な高温を避けながら、湿度と水分を確保して育てたい植物です。一方、ニューギニア高地原産とはいえ、耐霜性や日本での越冬温度について信頼できる栽培データはまだ限られています。日本ではまず鉢植えで管理し、冬季は霜や凍結を避けて栽培するのが安全でしょう。繁殖は種子が基本となります。イチジク属はそれぞれ特定のイチジクコバチとの密接な関係によって受粉するため、日本国内で栽培した株から自然条件下で正常な種子を得ることは簡単ではないと考えられます。
最大約22×18cmという、世界最大のイチジク。それを支える太い枝と、圧倒されるほど巨大な葉。しかも果実だけでなく、若葉まで野菜として利用されてきた食用植物です。普通のイチジクとは、果実の大きさも、葉の姿も、自生する環境もまったく違います。
「世界最大のイチジクを自分で育ててみる」
その一言だけでも育てる価値を感じさせる、ニューギニア高地を代表する非常にユニークなFicusです。
育てやすく家庭向きの果樹としてお庭に植えられていることも多いイチジク。不老長寿の果物とも言われ、ミネラルやカルシウム、カリウムなど豊富な栄養素を含んでいる嬉しい果物です。イチジクは漢字で「無花果」と書きます。花が無い果実と言う意味が名前の由来で縁起が悪いなんて言われてしまうこともありますが、実は果実に見える肉厚な花托(かたく)の内側に無数の花を密かに咲かせているんですよ。
いちじくの完熟果は痛みやすく流通が難しいうえにキウイみたいな追熟はしない果物。はちめが割れたらすぐ収穫します。家庭菜園だからこそ味わえる完熟の美味しさを是非体感していただきたいです。
原産地が小アジアやアラビア半島なので冬の最低気温がマイナス9度以上、北海道南部までが限界です。冬に寒すぎると花が越冬して夏収穫する夏果は収穫しにくいので、寒冷地では秋収穫の品種をおすすめします。