濃厚な甘酸っぱさと強い芳香。オレンジ色の大果を実らせる南米のユーゲニア
「サンドロップ」はフトモモ科Eugenia属の常緑果樹です。コロンビアを中心とする南米北西部の湿潤な熱帯地域に自生し、「Sundrop」「Guayabilla」などの名前で知られています。Eugenia属にはピタンガ、グルミチャマ、アラサーなど数多くの食用果樹がありますが、サンドロップはその中でも比較的大きな果実を実らせる種類です。果実は丸形~やや扁平な形をしており、成熟すると鮮やかな黄色~オレンジ色になります。果実の大きさは直径7~12cmほどになることがあり、一般的なEugenia属の小さな果実と比較するとかなり大型です。完熟した果実を切ると、中には柔らかくジューシーな黄色~オレンジ色の果肉が入っています。
そして、サンドロップ最大の魅力がその個性的な味と香りです。果肉は非常にジューシーで、甘味とともにはっきりとした酸味を持ちます。ただ酸っぱいだけではなく、完熟すると甘味もしっかりと感じられ、濃厚な甘酸っぱさを楽しめる果物です。さらに特徴的なのが、非常に強い芳香。果実を切った瞬間から独特のトロピカルな香りが広がり、味だけでなく香りまで含めて楽しむタイプの果物です。そのまま生食することもできますが、酸味と香りが強いため、ジュースなどへの加工にも非常に向いています。砂糖や水と合わせることで強い酸味が程よく調整され、サンドロップ特有の香りを活かした濃厚なトロピカルジュースになります。果実はジャムやゼリーなどへの加工にも利用できます。
樹は自然下では数mほどに成長する常緑の低木~小高木です。枝には大きめの葉を茂らせ、Eugenia属らしい整った樹形になります。果実がない時期でも光沢のある緑葉を楽しめ、熱帯果樹として観賞価値もあります。そして、サンドロップは比較的成長の早いEugeniaとしても魅力があります。Eugenia属には実生から結実まで長い年月を必要とする種類もありますが、本種は条件が良ければ比較的早く成長し、若いうちから開花・結実を期待できる果樹です。栽培では暖かく湿潤な環境を好みます。自生地は降水量の多い熱帯地域で、水分を好む植物です。生育期には極端な水切れを避け、十分に水を与えて育てます。用土は有機質を含み、適度な保水性を持ちながらも水が停滞し続けないものが適しています。幼苗のうちは明るい半日陰でも育ちますが、株が充実してからは十分な光を与えることで、より健全な成長と開花・結実が期待できます。耐暑性は非常に高く、日本でも暖かい季節には旺盛に成長します。一方、耐寒性は高くありません。熱帯アメリカ原産の果樹ですので、霜や凍結には注意が必要です。日本では鉢植えで育て、冬季には温室や明るい室内など、暖かい場所で管理するのがおすすめです。
鮮やかなオレンジ色の大きな果実。切れば広がる強い芳香。口に含めば、果汁とともに濃厚な甘酸っぱさが広がる。小さな果実が多いEugenia属の中では果実の存在感も抜群で、食べる楽しみの大きな種類です。そのまま生食して個性的な風味を楽しむのはもちろん、ジュースにしてその香りと酸味を存分に味わうのもおすすめ。
「育てて、収穫して、実際に味わってみたい」という気持ちにさせてくれる、南米の魅力的な熱帯果樹です。