サポジラを思わせる食用果実
サポジラの仲間が実らせる、小さく甘い果実。海岸近くにも自生するオーストラリア~東南アジアの果樹
「ウォンガイ・プラム」は、アカテツ科マニルカラ属の常緑高木です。サポジラ(Manilkara zapota)と同属の植物で、インドシナからマレー諸島、ニューギニアを経てオーストラリア北部まで広く自然分布しています。オーストラリアではクイーンズランド州北部に自生し、特に海岸に近い低地で見られます。海岸林、モンスーン林、つる植物の茂る林、熱帯雨林などに生育し、海に近い環境にも適応した熱帯樹木です。
サポジラを思わせる食用果実で、果実はおよそ2~3cmほどの丸い小果、基部には萼が残ります。内部には果実の大きさに対して存在感のある硬い種子が入り、種皮は光沢のある褐色になります。果実は熟すと柔らかくなり、生食することができます。同じマニルカラ属にはサポジラをはじめ、甘い果肉を持つ種類がいくつも存在します。ウォンガイ・プラムも小型ながら甘味のある果実を楽しめる種類で、大粒の果物を収穫するというより、野生果樹らしい素朴な果実を味わう面白さがあります。
樹そのものも美しい植物です。葉は枝先にまとまるように付き、厚みのあるしっかりとした質感を持ちます。枝や葉などを傷つけると、アカテツ科らしい白い乳液を出すのも特徴です。自然下ではしっかりとした樹木に成長し、木材は非常に強く、かつては彫刻などにも利用されていました。果実だけを楽しむ小型果樹というより、長い時間をかけて育てる熱帯性の樹木として考えた方がよい植物です。栽培では暖かく、十分な日照の得られる環境を好みます。自生地では海抜に近い熱帯低地にも生育しているため、耐暑性は高く、日本でも春から秋の高温期にはよく成長します。一方、耐寒性については十分な栽培データが多くありません。基本的には熱帯性のManilkaraですので、日本では幼苗のうちは特に霜や凍結を避け、鉢植えで冬季に保護できる環境で育てるのが安心です。種子からの栽培も可能ですが、発芽には少し時間がかかります。オーストラリアでの記録では、発芽まで32~88日ほどかかった例があります。
サポジラと同じManilkara属。小さく可愛らしい食用果実。そして、東南アジアからニューギニア、オーストラリア北部の海岸林まで生きる独特の分布。一般的なサポジラとはまた違ったManilkara属の多様性を、実際に育てながら楽しむことのできる珍しい熱帯果樹です。