幹から直接、濃紫色の実。オーストラリア熱帯雨林の個性派フルーツ
「デビッドソンズ・プラム」はオーストラリア北東部・クイーンズランド州の熱帯雨林に自生するクノニア科デイビッドソニア属の常緑果樹です。「プラム」という名前が付いていますが、スモモやウメなどのPrunus属とはまったく異なる植物。オーストラリア固有の果樹で、現地では古くから利用されてきたブッシュフードの一つとして知られています。
非常に独特な樹形で、幹は比較的細く、その上部から大きな羽状複葉を広げます。葉は非常に大きく、若い葉には赤色~ピンク色を帯びるものもあり、果実を付けていない時期でも熱帯雨林植物らしい迫力があります。そして最大の見どころが、果実の付き方。デビッドソンズ・プラムは幹生果性を示し、花や果実が太い幹や古い枝から直接現れます。結実期になると、濃い紫色~黒紫色の果実が幹にまとまって付く、非常に印象的な姿になります。果実は一見すると小型のプラムのようで、表面には美しい濃紫色の果皮を持ちます。しかし、その味は一般的なプラムとはかなり異なります。デビッドソンズ・プラムの特徴は、非常に強い酸味。完熟しても酸味がしっかりと残るため、生のまま甘い果物として大量に食べるというより、その鮮烈な酸味と風味を活かして加工することで真価を発揮する果物です。砂糖との相性が良く、ジャム、ゼリー、ソース、シロップ、ジュース、デザートなどさまざまな用途に利用できます。濃紫色の果皮と果肉から生まれる鮮やかな色も魅力で、加工すると美しい赤紫~紫色を楽しめます。オーストラリアでは、地域に自生する植物を食材として活用する「ブッシュフード」の一つとして知られ、現在ではデザートやソースなどにも利用される個性的な国産果実となっています。
Davidsonia属には複数の種類がありますが、本種Davidsonia pruriensは熱帯性の種類です。自然下ではクイーンズランド州北東部の湿潤な熱帯雨林に生育し、森林内の明るい場所や林縁などで育ちます。そのため栽培では、暖かさと十分な水分を確保することが重要です。生育期には水切れさせないようしっかりと水を与えます。熱帯雨林原産ではありますが、鉢植えでは根が常に水に浸かった状態にするのではなく、有機質を多く含み、保水性と排水性を両立した用土が適しています。幼苗のうちは強烈な直射日光よりも、明るい半日陰や柔らかな光が当たる環境から育てるのがおすすめです。株が充実してからは光量を増やすことで、しっかりとした成長を期待できます。また、熱帯雨林性の植物らしく高い湿度を好み、日本の暖かく湿度の高い夏には成長しやすい植物です。一方で、寒さには注意が必要です。オーストラリア産というと乾燥や寒さに強い植物をイメージすることもありますが、本種はクイーンズランド州の熱帯雨林を原産とする果樹です。日本では鉢植えで育て、冬季は霜や凍結を避け、温室や明るい室内など暖かな環境で管理するのがおすすめです。
大きな羽状葉を広げる独特な樹形。幹から直接ぶら下がる、黒紫色の美しい果実。そして、一度食べれば忘れにくいほど鮮烈な酸味。一般的な「甘い熱帯果樹」とはまったく違った魅力を持ち、果実を収穫するだけでなく、ジャムやソースなどに加工するところまで楽しめる植物です。
オーストラリアならではのブッシュフードを自分で育ててみたい方はもちろん、幹生果や珍しい熱帯果樹を集めている方にもおすすめしたい、非常に個性的な果樹です。